URUGUAY BEEF

2023.07.27
Spécialité ~美味しさの魔術師たち

つかんと 沖山丈シェフ|ウルグアイ産ビーフのビーフカツで次なる名物メニューを創り出す

厳選された有名料理店が軒を並べる虎ノ門横丁のとんかつ店

つかんとは、世界最速でミシュランの一つ星を獲得したTIRPSEのオーナー大橋直誉氏が生み出した虎ノ門ヒルズ内のとんかつ店。これまで数々のレストランをプロデュースし、注目を集める同氏がフレンチで培ったスキルを生かした新しい和食創作のスタイルを提供している。つかんとのとんかつは、優しい火入れで低温調理するフランス料理の技法コンフィを使い、中がレアのようにしっとりした豚肉が用いられ、定番のロースやヒレはもちろん、タンなど希少部位を使った独創的なとんかつが楽しめる。

同店はテレビ番組取材を立て続けに受けるなどメディアや SNSでも話題を博している。有名男性アイドルが、推薦する店として、番組で紹介されることもあり、その存在は女性を中心に広がり、ランチタイムには列をなすほどの人気ぶりなのだ。

今回は豚肉料理で人気をなす同店が、新たにウルグアイ産ビーフを使用した牛のカツレツを提供するということで、その背景や食材に対する想いを本メニューの創作者である沖山丈シェフに話を伺った。

魚を扱う寿司職人から、肉を扱う料理人へ

編集部:本日は宜しくお願いします。本来は豚専門のとんかつ店で、牛肉のメニューを創作されるなんて斬新ですね。

沖山シェフ:新作メニューの考案を模索している時に、ウルグアイ産ビーフの存在を知り、その肉のポテンシャルに魅力を感じて開発をしました。斬新な和食創作の提供は弊店の存在意義のひとつでもあるので。

編集部:沖山シェフが料理人になられた背景は?

沖山シェフ:父が八丈島出身なので、幼少期から釣りをして魚を捌くなど、料理に関心が高く、調理科へ進学。調理免許を取得し、高級店が激戦する銀座で4年間寿司職人をしていました。そのお店でつかんとのオーナーである大橋直誉氏と出会い、海外イベントへの同行など親交を深めさせていただいた経緯で、約2年前につかんとのシェフをやらないかと誘いをいただいた事がきっかけです。

編集部:魚主体の寿司と、豚肉主体のとんかつでは、食材も調理のアプローチも全く異なると思うのですが、苦労された点はありましたか?

沖山シェフ:ずっと魚を専門に江戸前寿司の技術で勝負してきたので、最初は戸惑うこともありました。大橋オーナー同様、店長もフレンチ出身の方ですので、まずは一から肉の食材との向き合い方や、仕込み方を教わり、フレンチの技法を学び、昼夜研究と実践を繰り返し、自身が培ってきた経験とスキルの長所を織り交ぜて、今のスタイルに辿りつくことができました。今では肉の魅力をいかに引き出せるか?その美味しさをお客様へどのように提供できるか?が仕事のやりがいとなっています。

人気とんかつ店が創り出す、至極の”ウルグアイ・ビーフカツ”

編集部:そして今回、魚から豚肉への経験を経て、数ある牛肉から“ウルグアイ産ビーフ”を新メニューの創作に採用されましたが、その理由や魅力はどのようなものでしたか?

沖山シェフ:以前から、輸入再解禁を経て、ウルグアイ産ビーフが色々なレストランで導入されているということは耳にして興味を抱いていました。今回ウルグアイ産ビーフを新メニューに使用したいという考えに至った具体的な理由は飼育環境がもたらす牛肉自体の旨み、国を挙げて畜産に取り組んでいることによる安全品質の厳格さ、そして安定供給による経済メリットの享受です。

新メニューではウルグアイ産アンガス牛のランプ部位を採用させていただきました。まず、味の点で申しますと赤身肉の旨さが凝縮されていてビーフカツとの相性が良いというのが1番の理由です。アンガス種の牛は様々な国で畜産されていますが、ウルグアイ産ビーフは広大な大地の恩恵を受けた放牧環境がベースとなるため、その筋肉のバランスもさながら、太陽光をしっかりと浴び、ミネラル豊かな水源で育つため牛本来の健康状態が良いとされています。その恩恵を受けた牛肉の旨みの濃さはこのメニューの命ともいえます。

次に国を挙げて取り組む安全品質の厳格さ。ウルグアイ産の牛は徹底されたトレーサビティの元、抗生剤不使用、ホルモンフリーが義務付けられています。大切なお客様には安心できる食材を提供したい。

最後は安定供給による経済メリットの享受。ウルグアイは畜産が大きな国策事業であることから、品質はもちろんのこと、安定した輸出供給が支えられています。豊かな供給量によりコストメリットを受けることができるので、お店の経営面でも安心感がありました。

編集部:実際に“ウルグアイ産ビーフ”を使用されてどう感じましたか?

沖山シェフ:旨みの点は前述の通りですが、赤身肉は旨味が詰まりつつ、脂身が少なくさっぱりしているため、シンプルな塩でも、濃厚なソースでも、醤油&山葵やポン酢といった和の調理料とも相性は万能です。ビーフカツ食材の魅力としては肉に含まれる水分バランスが良いので、柔らかさと弾力感のある豊かな食感を提供することができます。そして、弊店はランチ時などのテイクアウトも人気なので、脂質バランスも重要です。脂質の多いお肉をテイクアウトにすると冷めた時に味が落ちてしまうので、他の牛肉で試作をした時には難しい問題があったのですが、ウルグアイ産ビーフは脂質が少なめなので冷めても美味しく召し上がっていただけるので、需要が伸びると期待をしています。

編集部:ウルグアイ産ビーフの導入を検討されている店舗や料理人の方になどに向けてお伝えしたいことはありますか?

沖山シェフ:ウルグアイ産ビーフは本当に使い勝手が良く、どんな料理にも合う適応力の高いお肉だと感じました。例えば、煮込み系や肉寿司など様々な牛肉料理にも応用できると思います。とにかく、脂質の淡いバランスが絶妙なので、脂が牛本来の赤身の味を邪魔することなく使えます。最近は赤身のお肉がブームですので、さっぱりとしたウルグアイ産ビーフは特に女性や健康意識の高い方が来店されるお店におすすめしたいですね。

沖山丈 Takeru Okiyama
1998年、東京都生まれ。調理師免許を取得後、銀座の高級鮨店の扉をたたき飲食の世界へ。4年間研鑽を重ねた後、つかんとシェフに就任し、同店が虎ノ門横丁全体のムーブメントを先導する存在になることに情熱を注ぐ。現職を目指す原点となった八丈島で和洋問わずオールジャンルが提供できる民宿・オーベルジュを経営するという将来の夢を掲げ、日々料理の研究と挑戦を重ねている。

つかんと
〒105-6490 東京都港区虎ノ門一丁目17番1号 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー3F 虎ノ門横丁

 

公式HP: https://www.toranomonhills.com/toranomonyokocho/1015.html
公式Instagram:https://www.instagram.com/tsukanto_tokyo/

文章/小関咲穂(uruguaybeef.jp 編集部) 取材/渡辺恵伶奈(uruguaybeef.jp 編集部) 写真/狭川元秀(uruguaybeef.jp 編集部)・高尾亮太 構成/毛利努(MORRIS STRATEGY & DESIGN CONSULTS,LLC.